バネ棒が通らない

本日のお客様は、お電話で時計とバンドを取り付けているバネ棒が壊れたという依頼でした。そこでバネ棒のセットを用意してお待ちしていました。しばらくしてご来店になりました。早速時計を拝見したところ、おっしゃる通りにケースとバンドを取り付けるところのバネ棒が無くなっていました。
バネ棒が入るところの幅をノギスで測ってみたところ8ミリでしたので、8ミリのバネ棒を取り出して合わせてみました。するとバンドの穴に対してバネ棒が太くて中に通りません。太さが1.5ミリという細い方でしたがこれでは太すぎます。
困って時計のケースの方をよく見てみると、ラグの所に穴が空いていました。どうしてこのような作りになっているのだろうとよく考えてみるとやっとその意味がわかりました。この時計はバネ棒でバンドを取り付けているのではなくて、割ピンで取り付けてあったのです。
在庫の割ピンを用意する
長い間ご使用になっていたために割ピンが錆びてすり減って切れてしまった為にバンドが外れてしまったのです。今度は割ピンの長さを時計のケースから推測して19ミリと判断しました。幸い割ピンの在庫は0.8ミリ0.9ミリ1.0ミリ1.2ミリの4種類ありましたので、一応すべての太さを用意しました。
その前に時計のケースのラグの穴の中が詰まっているので、それを取り除くのが先決です。考えた末に割ピン抜きのピンを外す棒で外してみようと思いました。0.8ミリの太さの棒をケースのラグの穴に入れてこづちで叩いたところ、少し動いた感触があったのでさらに強く叩いてみました。
運よく片方の穴はステンレスの割ピンは錆びてはいましたが、何とか外すことができました。そのままもう片方の所を抜くには、棒の長さが足りないので今度はケースの反対側から同じように叩いてみました。反対側も錆びた状態で詰まっていたステンレスの割ピンが抜けました。
次にラグに空いている穴の所に割ピンの1.0ミリを差し込もうとしたところ、太くて入りませんでした。それで今度は0.9ミリを当てたところすんなりと通ったので、今度はバンドの方の穴に差し込んでみると上手く通りました。そして割ピンの止める部分を当てると少しきつめになりました。
最後に割ピンを取り付ける

これで太さがちょうどよいのが見つかりました。外れたバンドをケースに当てて、割ピンをラグの穴から通すと上手く取り付けられそうです。割ピンの元の方をこづちで叩くと少し中に入りましたがまだ頭が出ています。
少し考えてバンド万力にケースに一番近くなるようにはさんで、割ピンを取り付ける棒を当てて、こづちで叩いて穴の中に1ミリほどケースの穴の面よりも深く叩き込みました。これで作業は終わりました。バンドは新品の時のようにきれいに取り付けられました。


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